2026.06.11
府中が好き公開取材イベント
「会社は、地域の未来をつくれる。」
府中から、未来をつくる会社たち ③
社員が感じた、会社と地域の変化

2026年5月18日、地域課題解決型メディア「府中が好き」では、公開取材イベントを開催しました。
第2部では、未来創造企業に取り組む企業の社員さんたちが登壇。
株式会社BLPの上野皇花さん。
有限会社芝山建築設計事務所の芝山和子さん。
有限会社高田工務店の高田良太さん、遠野涼介さん。
モデレーターは、秋葉原社会保険労務士事務所 代表であり、一般社団法人日本未来企業研究所 理事、未来創造企業 統括プロデューサーを務める脊尾大雅さんです。
第1部では、地域に向けた取り組みを進める経営者の話が語られました。
一方、第2部で語られたのは、その取り組みを現場で受け止め、実際に動かしていく社員さんたちのリアルな声です。
未来創造企業への取り組みに対して、最初から前向きな気持ちばかりだったわけではありません。
戸惑いや疑問を抱えながらも、研修や他社との交流を通して、少しずつ見え方が変わっていきます。
経営者の思いは、現場で働く人たちにどのように届き、どんな変化につながっていったのでしょうか。
最初は、どんな印象でしたか?

脊尾さん
事前アンケートでは、未来創造企業に対して率直な印象を書いていただきました。
「漠然とうさん臭いと思っていた」
「怪しい集まりだと感じた」
「ボランティアのような活動で、事業にはつながらないのではないかと思っていた」
そんな声もありました。
最初は戸惑いや疑問もあった中で、実際に研修を受けたり、取り組みに関わったりすることで、どんな変化があったのでしょうか。
自己紹介も含めて、お話しいただけますか。
上野さん
株式会社BLPの上野皇花と申します。
美容師として20年ほど働いています。
未来創造企業へのチャレンジについて最初に聞いたときは、正直なところ「また何か始めようとしているな」と思って、すぐに前向きになれたわけではありません。
ただ、代表の若度とはアシスタント時代からの先輩後輩で、長い付き合いです。人としても尊敬していたので、若度がやることなら、きっと意味があるのだろうという思いはありました。
最初に本を渡されて読んでみると、未来創造企業に認定された会社の取り組みが紹介されていて。
「すごく良いことをやっているんだな」と感じて、まずはやってみようというところから始まりました。

芝山さん
私は設備設計士として、20年ほど設計の仕事をしています。
社長である夫が、未来創造企業に関わり始め、研修を受けると決めて、どんどん進んでいきました。
その中で、私は少し置いていかれているような感覚がありましたし、最初は正直、うさん臭いなと思うこともありました。
ただ、一緒に仕事をする相手である以前に夫婦でもあるので、夫が何を考えているのかは理解したいという思いがありました。
夫から「やりたいことは何なのか」と常に聞かれる中で、改めて自分自身も何がしたいのかを考えるタイミングになったんです。
研修を受けたあと、自分にも地域のために何かできるのではないかと思えることが、少しずつ増えていきました。
そうしたことが一つひとつ積み重なっていく中で、最初に感じていたうさん臭さも、少しずつ遠のいていったのかなと思います。
高田さん

私たちは、府中市の隣にある稲城市で工務店を営んでいます。
未来創造企業に取り組むきっかけは、社長である父が、大工の育成という課題に向き合い始めたことです。
当初は、マイスター高等学院※を始めるために、未来創造企業の認定が必要だという認識でした。
ただ、研修を受けていく中で、「地域から必要とされる企業になる」という目的は、自分たちが目指す方向として間違っていないのだと感じるようになりました。
最初に参加したときは、正直、少し独特な雰囲気に戸惑う部分もありました。
それでも研修を進めるうちに、自分たちがこれから目指すべき会社のあり方に、たくさんのヒントがあると感じています。
印象が変わったきっかけは何でしたか?
脊尾さん
最初は未来創造企業に対して戸惑いや疑問を感じていたようですが、そこから印象が変わっていったきっかけは、どこにあったのでしょうか。
人との出会いや研修での学び、実際の取り組みを通して、考え方が変わったタイミングがあれば教えてください。
遠野さん

明確に「これがきっかけだった」と言えるものがあるわけではありません。
ただ、関わる皆さんがそれぞれ、自分の考える地域課題や社会課題に本気で向き合っている。
その姿を見ているうちに、同じ目的意識を持った人たちが集まっているのだと、肌で感じるようになりました。
周りの人たちの目の色が違うんです。
そうした話を聞いていく中で、自分もこういうことに取り組んでいきたいと思うようになりました。
芝山さん

私の場合は、未来創造企業のプロデューサーで、建築設計事務所を経営されている菊池さんとお話ししたことが大きかったです。
当時、私自身もボランティア活動や地域活動をしていましたが、「この活動は何につながっているのだろう」「今やっていることに、どんな意味があるのだろう」と感じることがありました。
その時に菊池さんから、
「今すぐ結果が出なくても、地域の人は見ている。芝山さんがそこで活動していること自体が大事なんだよ」
と言われたんです。
その言葉を聞いて、すぐに仕事につながらなくてもいいんだと腑に落ちました。
実際に活動を続けていく中で、少しずつ仕事につながることも出てきました。
「芝山さんの活動に共感したので、この事務所にお願いしたい」と言っていただけることもあり、続けてきたことがちゃんとつながっているのだと感じています。
上野さん
最初は、美容以外のことに取り組む意味が、あまり分かっていませんでした。
でも、未来創造企業に関わる中で、まったく違う業種の方々が、それぞれの立場から社会を良くしようと活動していることを知りました。
事業は違っても、ゴールはみんな一緒なんだと感じたんです。
そうした方々と関わる中で、自分自身の捉え方も少しずつ変わっていきました。
それぞれの仕事を通じて、これから何ができるのか
脊尾さん
社員の方からの目線で、自分たちの会社や仕事の中で、これからどんなことにチャレンジしていきたいかも含めてお聞きしたいと思います。
上野さん

府中市は子育て世代や共働きの方も多く、お客様と話している中で、育児の悩みや子どもの居場所について考えることがあります。
一方で、美容業界では若い世代が少なくなっているという課題も感じています。だからこそ、美容業界をもっと盛り上げていきたいです。
BLPでは、美容室だけでなく、カフェやシェアオフィス、金融教育など、さまざまな事業に取り組んでいます。私自身も、食育や食を伝えるイベントを開くなど、自分の関心から生まれた活動をしています。
美容師だから髪を切るだけ、ではなくて、一人ひとりが「やってみたい」と思ったことを形にできる。
そんなステージを、BLPが美容業界の中で率先して作っていきたいです。
そして、そうした動きが美容業界全体にも広がっていったらいいなと思っています。
芝山さん

今、27歳の男性が会社にアルバイトに来てくれています。
これまであまり外で働く機会がなかった方なのですが、週に2回、事務所に来てくれるようになりました。
とても働く意欲があって、「次は何をやりましょうか」と自分から声をかけてくれます。
未来創造企業の研修を受ける中で、私たちに今できることは何だろうと考えるようになりました。
人材不足という課題もありますし、ひきこもりの方たちの将来を考えた時に、私たちにもできることがあるのではないかと思ったんです。
まずは一歩として、事務所の近くにある社会福祉協議会に話を聞きに行きました。
そこからご紹介いただいたことがきっかけで、今、働きに来てもらっています。
こうした形で、働くことに不安がある方や、社会に出るきっかけを探している方が働ける場所を、もっと広げていきたいと思っています。
また、私たちは地域の子どもたちの活動のお手伝いもしています。
子どもたちの居場所や、不登校の子たちの居場所づくりなど、私たち設計事務所ができることを、地域の仲間とつながりながら考えていきたいです。
高田さん

学生時代に建築を学んでいた頃、イギリスに1年ほどホームステイしていた時期がありました。
その時、現地の人たちの暮らしを見て、「豊かな生活をしているな」と感じたんです。
それは、金銭的な豊かさというよりも、まちの中にコミュニティがあり、食や暮らしに誇りを持っているように見えたからでした。
もともと建築の仕事をしたいという思いはありましたが、それに加えて、コミュニティをつくることへの関心も自分の中にありました。
未来創造企業に関わる中で、工務店だからといって建築だけにとらわれる必要はないのではないかと感じています。
住宅をつくるだけではなく、地域に対してできることはもっとあるのではないか、と。
昔の工務店のように、地域の中で「この工務店に相談すれば大丈夫」と思ってもらえる存在になること。
家のことだけではなく、地域の中で何でも相談できるような存在になることが、私の中のひとつの理想です。
社員の視点から見えた、会社の変化
最初から、未来創造企業に対して前向きな気持ちばかりだったわけではありません。
戸惑いや疑問を抱えながらも、研修や他社との交流を通して、現場で働く社員さんたちの見え方は少しずつ変わっていきました。
社長だけでなく、社員も自分の言葉で会社の未来を考え始めること。
自分の仕事の先にある、地域や社会とのつながりを見つめ直すこと。
第2部では、その変化が経営者だけでなく、現場で働く社員さんたちの中にも広がっていることが見えてきました。
府中から、未来をつくる会社たちへ
第1部では、経営者たちが地域に目を向けたことで、事業の意味や会社のあり方が変わっていく様子が語られました。
そして第2部では、その変化が、現場で働く社員さんたちの中にも広がっていることが見えてきました。
未来創造企業の取り組みは、特別な誰かだけが行う社会貢献ではありません。
自分たちの仕事が、誰の暮らしにつながっているのか。
会社が地域の中で、どんな存在でありたいのか。
そして、その未来を誰と一緒につくっていくのか。
その問いを、経営者だけでなく、社員一人ひとりが自分の言葉で考え始めること。
そこに、会社が変わり、地域が変わっていく入口があるのかもしれません。
今回の公開取材イベントでは、府中というまちを起点に、地域企業のあり方、働く人の変化、そして未来への希望が語られました。
府中から、未来をつくる会社たち。
その輪は、経営者から社員へ、会社から地域へ、そして府中から多摩地域へと、少しずつ広がり始めています。
日本中へ、そして世界へ。
それは壮大な理想に見えるかもしれません。
けれど、この日語られた言葉は、その未来を本気で目指す人たちのものでした。
まずは、このまちで生まれている小さな変化を見つめ、届けていくことから。
「府中が好き」では、これからも地域の中にある思いや取り組みを取材し、府中の未来を一緒に考えていきます。
※マイスター高等学院とは
社会で大きく活躍するための実践的な教育を受けられる学校。知識や技術だけでなく、社会人に最も求められる「志と人間力」を備えたプロフェッショナル(=マイスター)を育てている。建設・農業・福祉・介護・飲食など希望の分野を選べ、技術を学ぶOJTには給与が支給。通信制高校との連携で高卒資格も同時に目指せるため、収入を得ながら高校卒業と技術が手に入る。卒業後は、労働環境などで一定基準を満たした提携企業への就職を目指す。
ライター
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編集部より
「府中が好き」は、ハッピーカーズ府中店 が運営する地域メディアです。
私たちは地域企業として、事業活動だけでなく、 府中がより良い街であり続けるための取り組みに関わり続けたいと考えています。
本記事は、その活動の一環として、府中で活躍する人や想い、取り組みを記録し、発信しています。