府中から、未来をつくる会社たち ①

2026年5月18日、地域課題解決型メディア「府中が好き」では、公開取材イベントを開催しました。

今回のテーマは、地域とともに成長する会社のあり方。

登壇したのは、一般社団法人日本未来企業研究所が認定する「SSC(サスティナブル・ソーシャル・カンパニー)未来創造企業」の認定企業、または現在認定研修を受けている企業の皆さんです。

未来創造企業とは、「地球」「社会」「地域」「顧客」「取引先」「従業員(家族)」「経営者」の7つの分野・85項目から、持続可能な社会の実現に向けて、良い影響を発揮できる企業を評価・認定する取り組みです。

自社の利益だけでなく、地域や社会、働く人たちにとっても良い会社を目指す。その考え方を、府中という地域でどのように広げていけるのか。

神戸から府中を訪れた、株式会社四方継 代表取締役、一般社団法人職人起業塾 代表理事、一般社団法人マイスター育成協会 理事長の高橋剛志さんは、地域企業が未来をつくることの意味を、力強い言葉で語りました。

未来創造企業は、簡単に言えば「いい会社」を認定する制度です。

半年間で5回の研修を受け、その中で「未来を創れる良い会社になろう」と取り組んでいく。皆さんが今日話していた「チャレンジ」とは、その研修と認定までの取り組みを指しています。

ただ、この不確実極まりない時代に、未来を創造することなど本当にできるのでしょうか。

1年先の日本の株価も、建設業界の材料仕入れも、消費税の税率がどうなるかも分からない。そんな時代に「未来を創造する会社」として認定するなんて、おこがましいにもほどがあるのではないか。そんなふうにも思えます。

けれど、若い社員さんがこう話していました。

「これを広げていくと、世界が変わるかもしれないという希望を持ちました」

やっぱり希望がないと困りますよね。大人が希望をなくしてしまったら、子どもたちはどうすればいいのか、という話になります。

未来創造企業に認定されたからといって、本当に未来を創れる会社になるかどうかは分かりません。

それでも、希望をなくさずに未来をつくっていくためには、必要な条件があります。

私は、それを大きく3つだと考えています。

まず1つ目は、業務改革です。

昭和、平成を超えて続けてきた今の事業。その延長線上に未来があるなら、それでいいのかもしれません。

けれど、たとえば建築業界で言えば、これまでのように「こんな家を建てたいんです」と言われたものを、そのまま建て続けるだけでいいのかという問いがあります。

人口が減り、家も余っていく中で、ただ建物を建て続ける企業が本当に必要とされるのか。

これは、建設業だけの話ではありません。

人口が減っていく日本において、地域産業や国内産業の未来は、今までの延長線上にはありません。圧倒的に変わる必要があります。

では、どんな会社が残るのか。

一つは、潤沢な資金を持っている強い会社です。厳しい言い方をすれば、小さな会社は淘汰されていくということです。

けれど、もう一つ残る会社があります。

それは、地域に「この会社が必要だ」と思われる会社です。

一人ひとりのお客様と向き合い、そのお客様から、

「あなたの会社があってよかった」
「あなたに頼んでよかった」
「あなたに頼めば、一生私たちの暮らしを見てくれる」

そう思ってもらえるような関わり方ができているかどうか。

これは、経営理念を掲げたからといって実現できるものではありません。

現場です。

現場で働く一人ひとりが、お客様にそこまで共感してもらえるほど、念を入れた仕事ができるかどうか。

それが、業務改革をしなければならない理由です。

2つ目は、未来をつくれる組織かどうかです。

社長が一人でトップダウンで動かしている会社は、もう未来をつくれません。

一人のトップがすべてを決め、社員がそれに従うだけの組織では、変化の時代を乗り越えていくことは難しいでしょう。

大切なのは、末端で働く一人ひとりが本気でこう思えるかどうかです。

「自分たちの事業で、俺たちが未来をつくるんだ」

そう決められるかどうかが、その会社に未来があるかどうかを分けます。

未来創造企業の研修も、社長だけが受けても意味がありません。

会社ぐるみで、「一緒に未来をつくろう」と話し合いに行くかどうか。

そこに、未来が残る会社かどうかの違いが出るのだと思います。

3つ目は、存在意義があるかどうかです。

今日も、社会課題の解決という言葉が何度も出てきました。

でも、こう思う方もいるかもしれません。

「社会課題の解決は、事業と本当に関係があるのか」
「それは本当に売上に結びつくのか」

もちろん、そう考えるのは自然なことです。

けれど、金儲けだけができて、収益だけが上がる会社に、地域の人は興味を持ちません。

地域の人が関心を持つのは、その会社が何を目指し、その事業を通して地域にどんな貢献をしているのかが見える会社です。

それは、ホームページに理念を書いたり、会社の壁に掲げたりするだけでは伝わりません。

人と人との関係性の中で、コミュニケーションを取りながら伝えていくからこそ、存在意義が見えるようになっていく。伝わるようになっていくのです。

存在意義のない会社に、未来はありません。

あれもこれも半分でよくなる時代に、

「この会社だけは残ってもらいたい」

そう思われる会社になるには、改めて自分たちの存在意義を見直す必要があります。

今日の話を一言でまとめると、

「府中、めっちゃええやん」

ということです。

関西人なので、僕らの言葉で言うとそうなります。

地域の会社や人が連携し、コミュニケーションを広げながら、地域を盛り立てていく。その中で、地域にある課題を解決していく。

それが少しずつ広がって、多摩地区というくくりになり、

「多摩地区、めっちゃええやん」
「東京都、めっちゃええやん」
「日本、めっちゃええやん」

というふうに広がっていく。

その起点が、ここ府中にあるように感じました。

私自身も経営者ですから、一番関心があるのは自社の社員の幸せです。

でも、社員の幸せというのは、今この一瞬だけの幸せではありません。

その社員の子どもたちの幸せまで見て、幸せと言いたい。できることなら、その子どもたちが大人になり、家庭を築いて幸せに暮らしていくところまで考えたい。

そう考えると、地域がなくなってしまったら、そんな幸せも何もありません。

社員の幸せを考えることは、その社員が暮らす地域の未来を考えることでもあるのです。

「虫の目」と「鳥の目」という言い方をよくします。

小さいところを見る目と、大きく俯瞰して見る目。

大きいところばかり見ていても、小さいことが分からなければ、具体的に何をすればいいのかが見えなくなります。

一方で、小さいところばかりを一生懸命見て、森全体を見ていなければ、進む方向を見失ってしまいます。

だからこそ、虫の目と鳥の目の両方を持つことが大切です。

地域のこと、日本のこと、社内のこと。
今のこと、未来のこと。
小さいこと、大きいこと。

その両方を見ることが、これからの地域企業には必要なのだと思います。

今の日本は、先行きが不透明で、不確実で、曖昧で、複雑な時代だと言われます。

けれど一方で、確定している未来もあります。

人口は減り、生産年齢人口も減り、国内マーケットは大きく縮小していく。気候変動も止まってはいません。

私たちは、子どもたちや孫たちにこの世の中を渡していきます。

それなのに、経営者が自分のこと、今のことばかりを考えて事業をして、社会のこと、地域のこと、国のこと、政治のことを誰も気にしない。

そんな状態が続けば、地域のつながりはますます薄くなり、孤独や不安を抱える人も増えていくはずです。

孤独は何よりつらいものです。

それでも、何とかする方向はたくさんあると思っています。

中古車販売でも、魚屋でも、病院でも、小売店でも、どんな会社でもいい。

大切なのは、その会社の経営者が頭のOSを変えることです。

身の回りの人と世の中のこと。
社内のことと地域のこと。
今のことと、10年後、20年後、30年後、50年後の未来のこと。

その両方を一緒に考えることです。

分かっていること、知っていることと、実際に行動することを一緒にしなければ、次の世代、その次の世代にこの世の中を渡した時、こう言われることになるでしょう。

「じいさん、ばあさん、何をしてくれたんや」
「未来のことを分かっていたのに、なんで何もせんまま、このディストピアを残したんや」

このままだと、そう言われる未来が来てしまうと思います。

ただ、世の中を変えていく方法がないわけではありません。

「3.5%理論」という考え方があります。

府中市の人口は約26万人。
その3.5%は、約9100人です。

府中市内の企業数を約500社と考えると、その3.5%は175社になります。

175社が、社員、家族、仲間、知り合いを含めて、1社あたり50人ほどに、

「一歩踏み出そうぜ」

と声をかけることができたら、地域の中で動き出す人の数は大きく変わります。

1社1社が単独で頑張るだけでは、限界があります。

未来創造企業になりました、いい会社になりました、と1社だけが言っていても、大きな変化は起こせません。

でも、まず30社が仲間になる。
その30社が2社ずつ声をかければ、90社になります。
90社がさらに1社ずつ声をかければ、180社になります。

2年、3年をかけて仲間をつくり、一緒にいい会社になっていくことができたら、府中から日本の未来は変わると思います。

ぜひ、日本の未来を皆さんで創造してください。

府中から、未来をつくる会社たち。

今回の公開取材イベントでは、地域とともに成長する会社のあり方について、さまざまな立場から言葉が交わされました。

次回の記事では、第一部の経営者トークセッションから、地域に目を向けたことで会社や事業がどう変わっていったのかをお届けします。

ライター

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編集部より

「府中が好き」は、ハッピーカーズ府中店 が運営する地域メディアです。
私たちは地域企業として、事業活動だけでなく、 府中がより良い街であり続けるための取り組みに関わり続けたいと考えています。
本記事は、その活動の一環として、府中で活躍する人や想い、取り組みを記録し、発信しています。